【お店と人】Vol.02『BAR GROWING』中川将夫さん

飲食店に足を運んでは相談させていただいたり、胸の内を吐き出しては心の整理に繋がった過去が私にはあります。お店のサービスや提供している商品以外にも店主のキャラクターに惹かれて足を運ぶことがままあり、そんな部分にフォーカスしてみたいと考えるようになりました。こんなご時世だからこそ、少しでも店主・店員の人柄が身近に感じられますように。そして、少しでも良い繋がりができていく一助になればとても嬉しいです。
店主の中川将夫さん

「どうしてもバーをやりたかったわけではないんです」『BAR GROWING』の中川将夫さんの最初の言葉に驚いた。

目元のメガネの「モスコット」の「レムトッシュ」は、よく目立つ中川さんの目元に似合っている。
「日本人の顔に合うと聞いたんです」
スタンダードな形なのにお洒落なのが気に入っている、と朗らかにお話ししてくれた中にもお人柄が良く出ている。

今回のインタビューのきっかけになったのは、奉還町の「カッキーズバー」で中川さんと初めてお会いしたことだった。
そして「カッキーズバー」の店主である柿木さんに料理を教えていたというのが、中川さんの実母で「ジビエクイーン」の中川妙子さんだった。
妙子さんのお店と柿木さんのお店が近いことや、起業交流会の「守成クラブ」でのご縁が中川さんの「カッキーズバー」に足を運ぶきっかけとなったそうだ。

中川さんは(お店の名前)をオープンするまでに、どこか他の飲食店などで下積みや修行をした経験は全くない。
あまり夜に飲み歩かない中川さんが「自分のための遊び場というスペース」を作りたいと思い立ったのがオープンのきっかけだそうだ。

「“バー”は少し怖くて入りづらい」という友人たちの不安を少しでもやわらげ、気軽に来店してもらえるようにという気持ちから、店内の様子をYouTubeで流すことにした。
「モノを提供するというより、自分が心地良い空間を提供したい。“バー”への良くない偏見をなくしたい」とお話ししてくれた。

昔、レゲエなどのDJをしていたというお店の選曲も居心地が良い。
お客様といろんなお話をできればと、カウンターのテーブル下にはバスフィッシング用のルアーも飾ってある。
お店のインテリアやお酒の種類などは中川さんの趣味なのかとお聞きした。
「ダーツは違いますね。実は僕、甘いカクテルとかハイボールが好きなんです。ウイスキーの種類を豊富に揃えているのは、他のお店との差別化のためなんです。試飲を繰り返し、色んなウイスキーによりたくさん親しんでいます」

共同経営者の方もご一緒に笑顔で見送っていただき、取材を終えた。

朗らかでやわらかいお人柄は、それだけで人間的な強い魅力があるものだと、気持ちよく帰路についた夜だった。