【ひとぐすり】愚痴庵
最近、ふと、愚痴をこぼしたくても、愚痴なんかいっちゃいけない雰囲気。だれかに相談するほどでもないけど、なんでも気軽に話せる場所があれば、元気が出るのにな!そんな所があったらいいなと思い、愚痴庵をつくりました。もちろん、愚痴だけでなく、楽しい話、ただ時を一緒に過ごす場所としてでもいいと思います。愚痴庵は、多様な人々で成り立っています。宗教家、精神科医、保健師、臨床心理士、精神保健福祉士、保育士などの専門職以外でも、たくさんの愚痴庵の趣旨に賛同した方々が、ボランティアで運営しています。(HPより引用)
http://guchian.html.xdomain.jp/
今回は、「愚痴庵」についてご紹介します。
岡山駅から歩いて10分ほどのところにある、昭和初期に建てられたという一軒家。映画「精神」の舞台となった「こらーる岡山診療所」のすぐ裏に位置しています。
軋む階段を上がるとすでに10名ほどの方が暖をとられており、初めて参加する私を快く迎え入れてくださいました。お薬を飲み続けるだけの精神科医療に疑問を感じ続けてきた自分の話を、たまたま隣に座った男性が包みこむように聴いてくださいました。身体が軽くなって癒された感覚を今なお鮮明に思い出すことができます。また、映画「精神」の中でこらーる岡山診療所の山本昌知先生が使われている「ひとぐすり」という言葉について、先生がどのようにお考えであるか、直接お話を伺うことができました。
山本先生曰く、人間というものは実に不安に弱い存在なのです。医師の不安で薬が増え、相手のことが分からないことで余計に薬を必要とするのです。治療というのは、相手のことは誰にも分からないという前提から始まるものであり、『分からない』と分かることが大切なのです。
相手の考えや行動を良い悪いと判断はできないし、これは誰にも分からない。分からないから「どうしてなのかな~?」「どう思っているのかな~?」と本人から教えてもらう。支援というのは、本人の世界観を少しずつ教えてもらう過程のことなんじゃないかな。病気からの回復には友達がいると予後が良いということが言えますし、孤立している方は社会復帰しにくいということが言えますと。
また、先生は、ありのままの自分を出せる場所、評価をされずに話しを聴いてもらえる場所がもっと増えたらいいとも話されておりました。愚痴庵で人と出会い、人の話を聴き、自分の話を聴いてもらうことで、癒されて心地よい時間を味わうことができました。これからも「ひとぐすり」となるような人や場所をもっと探していきたいです。
愚痴庵HP:http://guchian.html.xdomain.jp/
映画『精神』HP:http://laboratoryx.us/mentaljp/index.php
【取材】大谷淳
【写真】金光浩太郎